「は…?」
眉をひそめると、北原は唇をぎゅっと結んで苦しげな顔をした。
「あたしと一緒にいて楽しい?」
何を言いたいんだ…?
怪訝に思いながら「楽しいよ」と答えると、北原は泣き笑いの表情になった。
「あたしも楽しいし、瑞貴といると凄くドキドキする」
そんな言葉に腹の底がざわざわと騒ぎだした。なんだか嫌な感覚。
冷えた風に撫でられて、街路樹の茶色い葉っぱもかさかさ揺れる。
「……」
短い沈黙の後、北原は哀しげな顔のまま俺の芯を見透かすようなまっすぐの視線を向けてきた。
「瑞貴はさ、あたしといてドキドキしたりする?」