正直少し驚いた。 別れたくないとかじゃなくて、別れを切り出されるような理由は何も思いつかなかったから。 ほどよく遊びに行って、ほどよく手を繋いで、たまにキスをして。それなりに楽しかったしそれなりに充足してた。 てっきりうまくいってると思ってたのに。 「なんで別れたいわけ?」 俺の言葉に伏せた長いまつげが小さく震える。と、彼女は決心したように顔をあげ、苦しげな表情を見せた。 「瑞貴、あたしのこと、好き?」