はじめてのキスは薄暗い公園の陰で。ただ触れるだけのその行為はやたらと緊張するものだった。

近づいた北原の髪からはなんだか甘い香りがして、こわごわ触れた唇はふんわりと柔らかい。


「ふふ」


キスの後、大きな目を三日月形に緩ませて微笑した北原。

その嬉しそうな顔を見て、自分のやり方は間違ってないんだと安心する。


女子との付き合い方も、キスの仕方もよくわからないけど、北原は満足そうだし、とりあえず俺は間違っていない。


伸びてきた指が俺の手を取って、応じるように指を絡ませると北原が甘えるように上目遣いをした。


「もう一回」


言われるままに顔を下ろして、もう一度、その柔らかな唇に自分の口を押し当てた。