「あたしと、するの、嫌?」 睨みつけるような、いや、どちらかというと泣きそうな顔で問いかけられ、俺は戸惑うと同時に首を振った。 特にしたいとも思わないけど――という言葉は呑み込んで、表面的にはしっかり否定の意思を見せる。 「嫌じゃないよ」 女の口からキスしていい? とか。 普通なら言いにくいようなことを、ハッキリと言葉にしてしまう北原。 そんな彼女を、俺は嫌いじゃない。