「えっと…」


コンビニから北原を家まで送る道中。細い道の真ん中でふたりはしばし立ち止まった。


キス、していい? って……。


女子の中ではわりと長身だけど、それでもやっぱり北原の顔は俺より低い位置にある。

その表情はどこか不貞腐れているようで。


「だって瑞貴の方からしてくんないから」


気が強いなりに素直な北原は、思ったことをすぐ口に出す。


「もうすぐ1ヶ月経つのに」


付き合ってどれくらいでキスをするのか、とか、そんな基準、俺は知らない。

そういえば手を繋いだのも俺からじゃなくて北原の方からだった気がする。