「ど、どこでどういうふうにやったんだよ」
「どんな感じなの?」
浴びせられる質問に孝太は得意そうに答えていく。
彼女の部屋で。帰り際に。目をつぶるのが早すぎて目算を誤ったけど、気まずいながらもやり直したらちゃんと唇がくっついた。必死だったから感触とかよく覚えてないけど。
孝太を囲んで「うおー」とか「すげー」とか言ってる俺達は、小学生でもキスをするという昨今において、なかなか純朴な青少年だと思う。
けど間違いなく、『性』に対して興味津々なお年頃なわけで。
とりあえず直前までは目を瞑んない方がいい云々(うんぬん)と続く孝太の講釈を途切れさせたのは、誰かの携帯メールだった。
「おい、光輝が今から講習会やるけど来るか? って」
携帯を操作しながら仲間の1人が興奮気味に叫ぶ。
「まじ!? 行くだろそれは」
早くも腰を浮かせながら言い放つ孝太に、その場の全員が追従する。