「北原のヤツ、二股? 瑞貴、浮気相手に選ばれたのかよ! すげぇ!」
「ちげーって。野球部の方はただの幼馴染みらしいし」
「まじか! 主将はカモフラ!? まさか北原の本命が瑞貴だったとは…」
驚いてるんだか興奮してるんだか、孝太は犬みたいな丸い鼻に皺をよせている。
こんなんでも一応カノジョ持ちという点では先輩だ。
「てかさ、付き合うって、何すんの? 具体的に」
俺の質問に、その場にいる全員、すなわちカノジョなし歴14年の男達が『先輩』へと視線を向けた。
不意に注目を浴び、さすがの孝太もやや身を引く。
「そ、そりゃやっぱ一緒に帰ったり、遊びに行ったり……」
「そんなん友達と変わんなくね?」
ゲーム画面から向き直った一人が切り込むと、孝太は考え込むように眉間にしわを寄せた。
「……だから、手ぇ繋いだり、チューしたり…? んで、最終的にはやっぱ…」
「げ、孝太、まさか沙耶ちゃんとヤッた?」
数人が興奮したように詰め寄ると、孝太は居心地悪そうに首を掻いた。