「沢井までそんなふうに思ってたんだ?」
頬を膨らませて、北原は睨みつけるように俺を見る。
そんなふうに思ってたんだ……て。
別に、深く考えたこともないけど。
「てっちゃんは…野球部の先輩は、ただの幼馴染みで、いろいろ相談に乗ってもらってただけだし」
「…へぇ」
「へぇじゃなくて! 沢井はあたしと付き合ってくれるの? くれないの?」
胸倉でも掴まれるんじゃないかという勢いで詰め寄られ、俺はたじろいだ。
北原ってこんなにはっきりした性格だったのか。
見た目がいいから、孝太たちの話題にはしょっちゅう上ってたけど、実際に関わったことなんてほとんどなかった。
意外性というか……、
ちょっと面白い、と思った。