北原は3年の野球部キャプテンとデキているという噂を、俺は夏休み前に孝太から聞かされたばかりだった。


そんな北原が俺に付き合ってくれだって?


「……どこに?」


俺の質問に彼女は目を剥いた。


「からかってる?」


意志の強そうな大きな瞳が信じられないとでも言いたげに俺を凝視する。


「……や、そっちこそ」


強い視線にたじろいでいると、北原は怒ったように言い放った。


「好きだから、付き合ってって言ってんの」

「……けど北原って、野球部の……」


戸惑いながら言う俺に、彼女は唇を尖らせた。