30分後…
生徒会室で貧血を起こしたという理由で保健室の硬いパイプベッドに納得のいかない顔で横たわる聖良の傍らには、上機嫌の龍也がいた。
「このまま放課後まで休んでろ。終わったら迎えに来るからな。」
「でも…運動会は?」
「出られると思っているのか?」
スッと目を細めると、体操服の下に隠された華に指を滑らせた。
つい先ほど自らが散らした所有欲の刻印を思い出させ、もう一度刻み込むように的確にその場所をなぞっていく。
頬を染め諦めたように力を抜く聖良を確認すると、龍也は極上の笑みを浮かべた。
「無理だろう?立てないくせにフラフラと出てきたら、もう一度啼かす。
今日はお姫様抱っこで帰る事になるぞ?」
誰がこんな状態にしたんだと突っ込みたい所だったが、目の前の極上の笑みからは想像もつかない『もう一度啼かす』と言う恐ろしい台詞の前にその言葉を飲み込んだ。
いつもの事だが聖良に勝ち目は無い。
「……大人しく寝ています。」
「まあ、俺はお姫様抱っこ大歓迎なんだけど?貧血ってのは大変だもんな?」
貧血ではない事は誰よりも良く知っているクセに!と心で叫んでみる。
だが、今日の運動会に使う以上の体力を30分で搾り取られた聖良には、龍也に逆らう気力は残っていなかった。
額に軽くキスを落として保健室を出て行く龍也を見送ると、大きな溜息をひとつ。
「お姫様抱っこって…本気じゃないわよね?」
あり得るだけに眩暈を感じた聖良は、頭から布団をかぶり現実逃避をしようと瞳を閉じた。