去年の運動会も、見事な秋晴れだった。
眩しい太陽を一杯に浴びてキラキラと輝く笑顔の聖良から、龍也は片時も目が離せなかった。
白い半そでの体操服は陽に透けると彼女のブラのラインがはっきりと浮かび上がる。
長い足を惜しげもなく曝し、形の良いヒップを強調するようなハーフパンツは男なら誰もが目を奪われるだろう。
何よりもその足の美しさ、そして絹のような滑らかさに惹きつけられ触りたくなるのは必然で…。
顔には出さなかったものの、まだキス程度にしか進んでいなかった二人の関係にジリジリしていた龍也にとって、その心中は穏やかではなかった。
余りにも無防備な聖良の姿に、心臓が裂けそうなほど爆走したのを覚えている。
走るたびに柔らかな胸が上下し、髪が風になびく。
その微笑で他の男子生徒と談笑し、競技では手を繋いだりする場面もあった。
苛立ちは運動会が進むにつれエスカレートし、昼にはピークに達していた。
そのため、いつものように弁当を一緒に食べた後、デザートと称してキスをした時、思わず箍(たが)が外れた。
自制が利かず、彼女が気を失うほど激しく唇を貪ってしまったのだ。
あの時は酸欠でグッタリとした聖良に焦って保健室へ運んだが、聖良が保護されている(龍也には保護と感じるらしい)だけで、午後からの彼は午前中の心の乱れが嘘のように冷静だった。
今思えば朝からそうしていれば聖良は運動会に参加する事無く、誰にも触れさせる事も、いやらしい男の視線に曝す事も無かったのだ。