普段営業をやっているから、その経験や知識をフル活用して取りあえずこのはの父親に向き合った。




肩の荷が降りたというかなんと言うか…。


「彬ちゃん。」



寄り添うようにしていたこのはがふいに声をかけてきた。




今は自宅に戻り、自室だ。


母は仕事に出て留守にしているから、このはと2人きりだ。


「ん?」



視線を下に向けると、このはが問いかけてきた。


「彬ちゃんは、いつからアタシの事好きになったの?」




「お前は俺を殺す気か…。」



潤んだ大きな瞳。
ぷっくりと膨らんだ誘う様な唇。
ほんのりと色付いた頬。



昨日の今日で、余りにもリアルに思い出して。



心臓に悪い。


あ、違うか。


下半身に悪い。




「なによ、ソレ。ちゃんと答えて。
初めてアタシが彬ちゃんに告白した時はスキじゃなかったでしょ?」



色々妄想しかけていた頭をぺちりと叩かれ、問い直される。



「まぁな。
中学生にスキとか言われてもな、困る以外ないよ。

俺はお前がオムツしてた頃の事も記憶にあるんだぜ?

難しいよ。」



肩を抱き耳元で囁く様に答えると、このはが肩を竦める。


「じゃあいつ?教えて。」


耳元に口付けて耳朶を食む。


「なんで知りたいんだ?」


身を捩るこのはを逃げられない様に抱きしめる。


「だって、彬ちゃんはアタシのそういうとことか全部知ってるじゃない。

アタシは知らないんだもの。

綺麗なお姉さんとお付き合いしてたこととか、お見合いしたとか、断片しか知らないから…。」




ゆっくりと背中を弄ると更に身を捩る。



「知らなくてもいい事だろ。

あ、でも教えといてもいいことならあるぞ。

今まで俺が経験したセックスの中で、お前が1番だ。」




カッとこのはが赤くなる。


「ひど…‼」

反論をキスで奪い取る。




「嘘じゃない。

あんな充足感、今までに経験したことがない。こんなに欲しいと思った事もない。もうこのは以外いらない。」



床に押し倒すと泣きそうな顔をしたこのはがいる。




「そんな顔して俺を煽るなよ。」
「こんな顔しかできないもん。」



間髪入れずに答えられてしまって苦笑いしか出来ない。




「過去は消せないんだ。

俺には俺の、お前にはお前の過去がある。
これから、一緒に作る未来には他人が入り込むことはない。



それじゃダメか?」




少しの間目を閉じてから、再び見つめ合う。


「わかった。
じゃあひとつだけ。

いつからスキだったのかだけ、教えて。」




真っ直ぐに見つめられて降参する。




「多分…最初にスキだって言われた時からだよ。」




照れ臭すぎてぶっきら棒に答えた。




「彬ちゃん。」


「あ?」



このはが俺の首筋に抱きつく。


「愛してる。」







それは……。






「男の俺が先に言うことだろうが!」




照れ臭くて、嬉しすぎて。

乱暴な勢いでこのはの小さな体を抱きしめた。


何度求めても足りない。
欲しくて欲しくてたまらない。

これが愛なんだとようやく気付いた。