このはが初めてだというのは解っていた。



だから、最初が肝心なんだってことも。



怖がるこのはをなだめたり気持ちよくさせたり、今までにないほど大切に抱いた。



初めてひとつになったときの充足感。



今までに感じたことの無い程の一体感。



2人でひとつなんだと思える程の幸福感。



このはだけが俺を満たしてくれる。

何度も何度も求めて、気を失う様にこのはが寝入ったのは明方だった。



眠るどころか、頭が冴えきっていた俺はすぅすぅと眠るこのはを横目にタバコをふかしていた。




(ヤバい。欲求が止まらん。)



これじゃサカリの付いた野生動物だ。


というか、あまりにもこのはの身体がキモチよすぎた。



「はぁ…。」




ため息と共に煙を吐き出す。

これからを考えると色々厄介なことがある。

このはの自宅は自分の自宅の隣だ。


もう25年はお隣をしているだろう。

分譲マンションの隣同士。親は仲がいい方だとは思う。


だが、娘と付き合うのが隣の年の離れた男となると話は別だろう。


確かこのはの父親は47歳。俺と一回り。

母親は42歳くらいだったはず。


そんな両親が大切に育ててきた一人娘のこのは。

その娘を自分とたいして年が変わらない男が貰う、と言うのだ。


俺が父親なら反対するだろう。




どうだろうか。
おじさんは、おばさんは、俺を許してくれるだろうか。




「愛してるから、手放すつもりなんてさらさらないけどな。」




立ち上がり、眠るこのはの長い髪を梳く。



小さな身体でいつも俺を包んでくれていたこのは。



「これからは、俺がお前を守るから。」




そう声にして誓った。