(何だよ、これは…。)





目の前でこのはの腰を抱き何かを囁いている男がいる。



このはは真っ赤だ。



(俺の…このはに!)



ツカツカと歩み寄り驚いて声も出ないこのはの手首を掴み、男から引き剥がすと乱暴な足取りで店を出る。

「来い‼」


「あ…まっ、待って、彬ちゃん!お会計まだなの!お願い、待って!」


このはが何やら言っているが聞く耳を持たなかった。



その後を美来が走ってやってくる。



「このは!
お会計は気にしないで。ハイ、荷物。
じゃああたしはこれで。


あ、彬ちゃんってあなたですよね?」



前に回り込み腕組みをして仁王立ち。


「そんなに嫉妬に狂った顔するくらいなら、何でこのはの気持に答えてやんないの⁈」



「余計な世話だ。」




低くドスの効いた声で彬は返す。




ムカついてならない。


このはが他の男と抱き合っていただけで、無性に腹が立った。




突き放したのは自分なのに。



幼馴染の括りにいれたのも自分なのに。