*** 「はぁ、ただいま!」 いつも通り、玄関わきにランドセルを放り投げる。 既に優菜のランドセルもあった。 「二人ともいないのー?」 走ってきたから喉が渇いている。 台所へ行き、冷蔵庫を開けて氷を入れたグラスに麦茶を注いだ。 カランと氷が解ける涼しげな音がする。 「達也ー?優菜ー?どこにいるのー?」 お行儀は悪いけれど、麦茶を飲みながら家の中を歩く。