もう、無視をすることに決めてしまおう…

紙の束を手にとり、表紙をみる。
そこには子供が書いたような絵がかかれ、高い塔の部屋にお姫様のようなものがいる。さらに入り口には…かえる?
いかついかえるのようなものがこちらを睨んでいる。
そしてこの題名はボヤけてしまっているので読むことができなかった。…涙のあとだろうか、この涙によって滲んでしまったようだ。

きっとおじいさんのお孫さんが書いたもので、紛れ込んでしまったのだと思った。

「あ、あの…これ紛れてたんだと思うんですけど」

「いえいえ、そんなことはないですが、そちらは差し上げます、持って帰ってください。…なんだったらこちらも差し上げますよ」

そう言ってサッとでてきたのは、ここ最近ずっと探していた『小鳥売りのうたた寝』の本…

「ちょっ!えっ!!?お、おじいさん、なんでそれを…?」

あんなに散々探してみつからなかった本がおじいさんの手の中にある…。しかも、それを差し上げるというのだから、頭が混乱してしまう。