寝汗のひどい朝、いつものように顔を洗い鏡で顔を見る。クリクリとした目に、小さくて控えめな口、そして垂れ下がった眉、さらに身長も高くはなく、いかにもか弱い女の子という感じ。さらに中身もそんなだからよくイメージを壊さないね、とか言われてしまう。
私はもう少しはっきりしていて気の強い女の子になりたいのだが、どうしてもそんな勇気がでない。

その後も簡単に朝食を済ませ、学校に行く支度を整えて自転車に乗って学校へ向かう。
比較的新しい校舎の大学は自転車で三十分といったところで、道中は真新しい住宅から賑わいのある商店街、可愛らしい喫茶店などが並ぶ洒落た道になっている。
私はこの大学に通うために一人暮らしをすることになったが大学のため、というわけでもない。
私は両親との仲がとても悪く、顔を見合わせれば激突。さらに両親の間にも亀裂がある。そんな居心地の悪い両親との生活が嫌で一人暮らしを決めた。
親も親で私の一人暮らしに大賛成。
一人娘だというのに心配もされない、なんとも悲しい家庭事情があるのだ。

私は信号に捕まり、長いストレートの髪を少し整え、またため息をつく。
課題の本をどうすればいいのかで頭がいっぱいで、なかなかため息が底をつかない。