少し、話そうーーー

昔話をーーー


「人間?」


「あぁ、、、ヴァンパイアになったのは、、、一度、死んでからーーー


正直、あんま昔の記憶がねぇんだ」


昔すぎて、消えちまいそうなーーー遠い遠い記憶を少しづつ、手繰り寄せたーーー



「生まれは貧乏な家でよ、、、二歳の時に、親に捨てられてーーー


盗みに追い剥ぎ、人殺しに、死体漁りーーー
生きる為に、出来る事なら、何でもしてきた、、、」



ゆうなは静かに、俺の横に腰を掛けて、刀をそっと手渡してくるーーー



「ある時、みすぼらしい俺の前に、小綺麗な着物を着た若い女が現れたーーー
それが、師匠、錦との出逢いーーー」



「錦…さん…」


デッカイ月が真上で怪しく輝き

俺とゆうなをぼんやり照らすーーー


「世話になったヤツな筈なのに、、、


今の今まで、名前すら思いだせないなんてーーー



俺って、ヒデー奴だよな…。」


こんなベビーな話を、俺は何でコイツにしてんだろうーーー


魔界の夜は、思っていた以上に綺麗で、