薄紫の暖簾の向こう側に、静かに座る気品漂う女性ーーー


「亀姫様、こちらが歌姫様ご一行様で御座います。」



「下がるがよい」


鈴を転がした様な、とても美しい声だった


「ソナタ、人間の娘の様だが、見事、この海と語らったと聞くーーーわらわは、その実力の程を知りたい。



殿方には食事を用意してあるーーー


娘ーーーこちらに来られよ」



スッと暖簾が彼女の胸の位置位まで開き、


甘いお香の香りと、、、黒い霧みたいなのが！？
どうやら、皆には見えていないみたいだった…


「はい。」



私は何の躊躇いもなく、中へ進むと、そこには、



銀髪の息を飲むような美女がいてーーー


彼女は、大きな大きな、装飾が施された美しい木箱に身体をもたげ、座っていたーーー


うっすらと微笑んでいる彼女の魂からジワジワと黒い霧が出ていて、

魂の形が、、、ハッキリと見えない、、、


「初めまして、私は、人間界から来ました、榎本 ゆうなと言いますーーー」