俺の部屋に着き、途中肩に担ぎ上げた加藤を下ろすと、肩の辺りがぐっしょりと湿っていた。



「陽萌。」



名前を呼ぶと、嗚咽を漏らす。その顔は、涙で濡れていた。


俺は怒りに任せて、陽萌の唇を塞いだ。

何度も、角度を変えて、逃げることすら許さぬように、すべてを奪うように。



「呑むなと、言っただろ。」



昨晩そう言ったが、どうやら聞いていなかったようだ。

まぁ、そんな気はしていたが…。



「愛想、尽かされたのかなって。」



突拍子な陽萌のその言葉に、思わず間抜けな声が漏れた。

ボタボタと涙を零しながら言葉を紡ぐ陽萌。


自分のギャップで冷めたんじゃないかとか、俺が綺麗所に囲まれてたとか。


不安だったのは、嫉妬したのは俺だけじゃなかったのか。

安心すると同時に、愛しさがこみ上げてきて、俺は堪らず陽萌を抱き寄せた。



「お前を手に入れるまで、どれだけかかったと思ってる。早々愛想は尽きない。」



しゃくりあげて泣く陽萌が堪らなく愛おしくて、俺は唇を重ねた。

我慢も限界に近く、容赦なくそれを深める。