2回目だからというのも大きいんだろうが、それだけではないことを、俺は確信していた。



「……悪かったな。」



取引先からの帰り道、社用車の助手席窓から外を眺めていた加藤にそう声をかけた。



「何がですか?」

「今回の昇格についてだ。増田のことも。」



増田がわざと加藤にコーヒーを淹れていることに、気付かないわけがない。とんだとばっちりで申し訳がないくらいだ。

増田に何度も注意はしているものの、一向に止める気配はない。


増田はあれでいて聡い。

俺が加藤に惚れていることくらい、とっくに気が付いているだろう。


ひどいことをしているのは、俺の方なのだ。



「彼女にちゃんと言っておいてください、お前だけだって。付き合っているんでしょう?増田さんと。」



好きな女にそんな指摘をされて面白いわけがなく。思わず顔を歪めた俺を加藤が楽しそうに見てくる。