〈ラウside〉


   
夜、轟々と鳴り響く風の音


岩がなければこの風の餌食になっていたであろうと思うとゾッとする




寝ているマリア様に布団をかけ直し、月を眺めるユニへと近づいた




「何を考えておいでですか」


ユニは私を見てまた月へと視線戻す



 

少しの沈黙の後、ユニは静かに呟いた




「アリスが見つかった」


「え、」


思わず私は目を見開く



「ロウから連絡が来た」



ああ、食事の前の何処かへ消えたあの時か


あの後、戻ってきたユニはあまりにも普通だったように思う


喜びの表情も、戸惑いの表情も一切見せなかった彼


元々戸惑いの表情などあまり見せることはないが、それにしても安定していた気がする



「やっとだ…」


     
「はい」



切なそうに呟く彼に頷くことしか出来ない