「お父様が、心配しているのでは?」



自分で思ってたより柔らかい声



ああ、何気に俺は心配してるんだな


この、無害そうなお嬢さんを



だが、マリア様の顔を見て息が止まるかと思った




先ほどまで見せていた困った表情が気にならないほど、


苦しみに満ちた表情




「マリア」


横から入ってくる声



マリア様はそっと目を閉じ、


「はい」


返事と共に開かれた瞳には、苦しみなど感じ取れなかった