それもそのはず。
リリアは大七(だいなな)家の一つ、ベルゼブブ家の分家の子。
そして一番衝撃だったのがなんと、あの研究所の所長であるベル様の孫らしい。
ベル様は純血だが側室でリリアの祖母にあたる人は人間だったためリリアの力は弱い。
それでも純血種の血が四分の一も入っているので見目は劣らず美しい。
「考え事ですか?」
心配そうに見てくるリリアに申し訳なくなる。
「ちょっとね。でももう大丈夫。」
「ならいいんですが…。今日はマリア様の晴れの舞台ですからね!万全の態勢で臨んでいただかなければ!!」
そういってリリアは部屋に飾られたドレスを見つめて嬉しそうにほほ笑む。
「…そうね。」
ついに夜会は今夜まで迫っている。
私は何の答えも出せないままこの日を迎えてしまったのだ。