結果的に夜会のパートナーを引き受けてくれたユルには感謝をすることになる。 私は忘れてたから。 当然出席するはずの、彼女のことを。 「マリア様?」 目の前に現れたメイドのリリアの顔で意識を取り戻す。 「リリア…びっくりさせないで。もう。」 ここ数日で急激に仲良くなり、私は敬語を使わなくなっていた。 「何度もお呼びかけしたのに返事なさらないんですもの。」 そういって膨れるリリアは整った顔をしている。