「なんで離れるの?」
「なんでって…。」
なぜだと聞かれると困ってしまう。
離れなければいけないからで。
離れなければいけない理由は、って聞かれたら…
「そんなに好きなのに?離れなきゃいけない理由があるの?」
「それは、アリス様がいて…。それで家も。あたし当主になって…。」
それで…?
「…アリス様がいても妃にはなれるだろ。家のことだってどうにでもなる。」
真っ白になった頭にユルの声が入ってくる。
「兄さんだってそのつもりじゃないの?」
「え…?」
「だってそうだろ。血まで分け与えて、ラウまでつけて。大事にしてもらってるじゃん。まさか、」