「今までは、父に育てられてきました。その父が先日行方を暗まして…」
「で、父親の名前は?」
「…」
さあ、なんと答えようか。
隠す必要なんてどこにもないのだ。言ってしまおうか。
しかしそれでは、ラウ様に知らないといった以上辻褄が合わなくなる。
「それを知りたくて、ここに来たんです。」
私の代わりに答えてくれたラウ様。
また、だ。つかなくてもいい嘘をついてしまった。
私は、アネモネには戻れないのかもしれない。
「…まあいい。親が知りたいんだな。付いて来なさい。」
何か言いたげに私を見てきたベル様だったが、私に何かを言うことはなかった。