「お父様…」


目を覚まして思う。


きっと私の記憶の想像によって作られた都合のいい幻かもしれないと。




でも、


「嬉しそう、だったなぁ」


きっと泣かなかった私を、成長したと感じたんだわ…



夢の中でも、お別れができたから良かったのかもしれない。





「失礼します。」



ノックの後に入ってきたのは私より少し若そうなメイド。



「お召し物と朝食をお持ちしました。」


緊張した面持ちで私の顔色を伺う彼女は…




「確か、昨日も持ってきてくださいましたよね?」


「は、はい!」



昨日もお世話をしてくれた子だ。昨日は頭の中がいっぱいいっぱいでお礼どころかろくな返事さえしていなかった。




「ありがとうございます。お名前は?」


「は、はい。リリアと申します。」


頭を深々と下げられる。




「頭をあげて?」


丁寧に、丁寧に。を心がける。


お嬢様らしく、上に立つ者らしく振る舞わなくては…