そんな私の頭の中など知らないラウ様はいつも通りに話しかけてくる
「部屋は借りときました。マリア様これを」
そう言って差し出された鍵を受け取ろうと手を伸ばす
しかし横から伸びた手に奪われてしまった
え?
「ユニ様?」
ラウ様も私と同じ事を思ったのだろう、二人でユニ様を見つめる
「今日はお前が一人」
有無を言わせないあの声で、それだけ言うと私の腕を掴みスタスタと歩き出す
「え、ちょ」
意味が分からず振り返り助けを求めるが、ラウ様には届かない
なんて役立たずなの!
公子様の側近だなんてやっぱり私の考え違いだったのかしら
心の中でどれだけ悪態をつこうと気づく気配のないラウ様に、諦めるほかなかった