『さてと…、
行くな』
食事が終わり龍希が立ち上がると、釣られて幹部も立ち上がる
『ゆっくり…食ってろ――な?』
いつまでも優しい龍希はみんなの拳に秘められた想いに気付くコトなく扉を開け放ち
暗黒の世界に飛び立つ金の龍が如く
飛んで行ってしまう
「龍…っ!!!」
ずっと傍にいたい
龍希の歩く道を照らしていたい
もっとゆっくり寛いだ生活をして欲しい
そう思う琥亜の悲痛な叫びも
「「総長っ!!!行ってらっしゃい」」
下からの元気な挨拶にカキ消される
「琥亜…」
無音になった幹部室に漸く落とされた声
暗く沈んだその世界で
一体みんなは何を思う
『早いね…雲雀(ひばり)、孔雀(くじゃく)』
龍希が走り、立ち止まった地にいた二人の子ども
10歳前後だろうか
「「大丈夫ですか?」」
ドコカ似た雰囲気を持つふたり
頭を優しくフワリと撫で龍希は呟いた
『大丈夫大丈夫』
そして『行くぞ』その一言でまた一瞬にして走り去る
それに顔を見合せ走り出す二人は言うのだ
「「....Yes.Master」」