そんなとき
「失礼しているよ」
突如としてそう声を出したのは
幹部室の奥
龍希のための黒ソファの裏からだった
「…誰だ、お前」
優しく切なげな表情を浮かべていた成之も樹杜も
眉間に皺を寄せ
威嚇するようなオーラを纏う
中でも咄嗟に身構えたのは胡陽だった
「…誰だろうね、僕は」
自嘲的な台詞を口にしながら
クスクスと堪え笑いをする男
「さぁて
Masterのご意向通りに物語を進めなければ」
少し訛りがある
その静かな声
そして男は黒ソファを見つめ、姿勢を正した後に深い深い最敬礼をした
鋭い眼光で彼らを睨み続ける三人