「ねぇ、ボクもう町歩くのヤダー」
コンテナがいくらか置かれた改良された暗い倉庫の二階
数名の男児が思い思いの行動を起こし佇んでいる
そう発した少年はまだ中学生にも小学生にも見える幼さを纏っていて
「そんなに言わない方が良いですよ、琥亜」
「そんな成之だって嫌がってるじゃないか」
「樹杜もでしょっ。あれを嫌がらないのは胡陽くらいだよー」
周りの若者たちに宥(なだ)められていた
そんな状況に嫌気が差したのか逃げ道を探すように別の人物に目を向ける
「――龍ぅ」
彼が龍と呼んだのは奥のソファに深く沈み瞳を閉じた、色の白い青年
フッと瞼をあけ淡く微笑んだその青年はどこか儚げで
『…おいで、琥亜』
全員が同級生で同い年なのに――
彼だけは…彼の瞳だけは世と言うものを悟ったようでいて
別の世界、別の次元で生きているかの様
皆が皆…彼を慕っているのに…心から慕っているのにも関わらず、しっかりと目を合わせるコトができない
「ん~、龍ぅ
気持ち良い」
琥亜と呼ばれた少年は龍と呼んだ青年の膝に頭を乗っけて優しく撫でられる
丁寧な口調で話していた二人はそれを見て――
淡く優しく微笑んだ
そんな時、ドアの向こうが騒がしくなりドアが開かれた
「みーんなー!!!ただいま」
明るく別の少年が入って来ると同時に電気が付けられる
そこにいたのは――