「なぁ、龍希」
『…ん?なんだ、成之』
「オレたち、走りたいんです」
樹杜の言葉に成之だけでなく琥亜も胡陽も頷いた
『走りかぁ…
良いなっ
明日にでも行くかっ』
「「「「よしっ(やったぁ)!!!」」」」
暫(しばら)く行けなかったのには裏の方で仕事があったからだ
四人の喜ぶ顔を見て龍希は微笑む
「その前には腹拵(はらごしら)え…だなっ!?」
『そうだな』
「龍ぅ、走りだよぉ」
「琥亜、甘えはいけませんよ」
「そうですよ。樹杜の言う通りです
龍希、少し疲れが見えるようですね」
「寝てくださいね」
「飯たまにはオレら準備すっから」
「龍はねぇ、審査係ぃ」
賑やかで――寧(むし)ろ騒がしくて――幸せが溢れている
暖かい
陽だまりの様な暖かさ
龍希は幹部室の奥の総長室で
ベッドの上に屈み込み枕に顔を押し付けながら涙を流した
「お休み龍希」
薄れ行く意識のなかで
自分に向かって微笑みかけてくれる四人の顔を見た