「龍ちゃん?」
扉の方から小さな声がした

『…ミツ――』



「龍ちゃぁあぁん!!!昨日ぶりぃ」

呼び掛けようとした龍希に飛び付く光治
『おわっ、やめろっ!!!光治っ』


「まっ…Master!!!」

「止め…ろっ!!!光治っ」
全員で必死に光治を引き剥がす

それでも光治は龍希の傍をはなれなかった

光治が特に龍希になついている理由は影龍のメンバーにはわからない





龍希が話すことは勿論ないし


光治は光治で龍希と自分だけの秘密であり、甘えられる理由であったから






「龍ちゃん…ボクね、遊びに行きたいの」

『またか?』

「うんっ!!!」


「こっ…コラっ光治っ!!!」
「遊ぶのならボクたちがいるでしょっ」

「そ、そうや!!Masterは忙しいんやからっ!!!」


「うっさい。雲雀に孔雀、猫が
猫は雀でも追っかけ回してれば良いんだよ」

龍希以外にはどこか冷たい光治に手を焼くのはいつものコト


雲雀と孔雀は光治より年下なのにも関わらず、弟を呆れながらも微笑ましく見るような優しい目を向けていた



『コラ、光治。謝りなさい

彼等は心配してくれただけなのだから』


「龍ちゃんのコト?」


龍希が頷くのを見て光治は輝く瞳を6人に向けた


「お前らっ、イイ奴らなんだなっ」








ピキッ



「…う―上から来やがった」


「す…SNAKEっ!!!落ち着けっ」

SNAKEが突如として殺気立ったのにHAWKが過剰反応を見せる


「HAWK!これが落ち着いてられっかよ」


「あぁもう!毎度毎度五月蝿いですよ貴方は!
HAWKっTWINSっCATっ
SNAKEを押さえてくださいっ」

暴れ出しそうなSNAKEを尻目に、頭を抱えたSHARKが指示を出す

「「「「Yes,sir!!!SHARK」」」」


「うっへ~ガキだなぁ

ベロベロバー」
そんな彼らを見てさらに挑発を続ける光治

「こンのヤロっ」



「うわぁあん龍ちゃんっ助けてぇ」
結局は嘘泣きで龍希に助けを求めるのだが…


龍希は呆れたようにみんなを見つめる

いつもの光景
光治が挑発し
SNAKEがキレ
年長者のSHARKが指示して
CAT、HAWK、TWINSの四人で止める


熟練の暗殺者もやはり年相応
――十代の少年と青年


『ごめんな』
そんな子どもを引きずり込んだ罪悪感から漏れでた呟き

しかし龍希の呟きに気付いた者は光治だけ

それでも光治は首を傾げ知らないふりを決め込んだ



いつもの様に
穏やかな時間が

ただただ流れ過ぎて行くのだった