「奈音」




いつもよりも、甘く優しく呼ばれた自分の名前がくすぐったい....



「....廣瀬....」




「由奈ちゃんと未海ちゃんは?」



「あ、二人は彼氏と会うからって。」



「あ、そう....なら行こうか奈音。」




そう言って私の手を、さりげなく絡め取り優しくひっぱりながら歩いていく廣瀬。



それも自分の部屋とは反対方向に。




「廣瀬?どこいくの?」




「あ、言ってなかった?ライブハウス横の店。」



「え、なんで?忘れ物??」



「んー、忘れ物ではあるんだけどな。あいつら奈音に会いたいって聞かなくてさ。連れてこないって言ったらオレのギター奪いやがって。」




「私に?」




「あっちついてから、絶対に手離すなよ?」




「え....うん?」




いったい、なんなんだろ?