「と、うま......」


キス...するかと思っていたら、ただじっと私を見つめているだけ...



「奈音......」



低い掠れた声で呼ばれた自分の名前...




もう学校のそれも休み時間なんてことを忘れるくらいにらしくもなくドキドキして。



「なんで怒ってるかわかってんの?」





そういいながら、自分の頭を私の肩に乗せてさっきより甘く、囁くように聞いてくる...



「わかんない... 」



「へぇ、?そんなこと言うんだ?」



「っ.........」



「ねぇ、奈音はどっちが好き?このまま俺の家に行くか、それとも...」



「それとも...?」


「なんでしょ?」



綺麗な二重の目を三日月に細めて言う彼に続きなんて聞けるはずもなく。


私に選択肢なんてあってないようなもので。