「よくあんたみたい子が男なんてできるよねぇ。…やることやってんの?…気色悪い…」

戸野の声をかき消すほどの声。

なんなの?この女…



「…すいません…戸野さんとは、そういう関係じゃないんですけど、本当にただの友達で。」

俺も否定した。

「で?…あたしがいないからって好き勝手やってんでしょ。…あんたは、少しズルイとこあるから。」

俺の話をまったく聞いていない。
戸野はもう何も言わずに下を向いていた。
それを見てイラついたのか、女の顔は変わっていく。


「なんか言いなさいよ!いい!?…ここは、あんたの家じゃないの!あんたが住む家じゃないのよ!…勝手なことするなら追い出すよ!!…」

赤い顔して、戸野に怒鳴っている。

戸野は、今にも泣き出しそうなくらい目に涙を溜めていた。


なんとかこの状況を変えなきゃ。
そう思った。




「出るのはおまえだよ。」

女の後ろから、戸野の兄ちゃんがきた。

その言葉の目線の先は…女。

「とも…帰ったの。」

戸野の兄ちゃんは、冷蔵庫を開け、飲み物を出す。

「…朝から酒くせー女に、家のルールとか決められたくない。」