戸野の家に来てしまった。


「どうぞ。」

戸野は、コップをテーブルの上に置いた。

「なに…これ?」

「麦茶です。」

「知ってるよ。」

戸野は振り向いて、なんで聞くの?という顔する。


「…からかっただけじゃん。」

「簡単に人をからかったりしちゃ駄目ですよ…信用しなくなる。」

「はいはい。ごめんなさい。」

今思えば、なんで戸野のとこに来たんだ…自分でも意味がわからない。

でも、家には帰りたくない。

「…お前んち…厳しい?」

「……いや。」

なんだよ、その間は!!

「じゃぁさ、今日止めてくんね?」

「…お家は?」

「…帰りたくないんだよ。」

「そう…なんですか…多分大丈夫だと思うんですけど…」


「沙知美?」

リビングのドアのところに背の高い茶髪の男の人が立っていた。


戸野は少し強張った様子で、目をキョロキョロさせていた。

「…誰?」

男は、俺はを見て言う。

「…同じ高校の…お友達です。」

友達という言葉に納得していないけど、俺は軽くお辞儀をした。