みんなとはぐれてしまったわたしは、とりあえず歩いた。


「戸野!?」

横から聞こえた聞き覚えのある声。

「何してんの!?」


小和田くんだった。

「…みんなとはぐれちゃって。」

「ノロいからそうなるんだよ」

「波ぃ!行かねーの?」

小和田くんの友達が言った。

「…先行ってて!後で追いつくから。」

小和田くんはそう言うと、手を振って友達と別れた。

「あの、いいんですか?わたしなら大丈夫だから。」

「別にお前のためじゃねーよ。」

そうは言うけど、本当は優しいんだ。

「んで、誰と来たんだよ。」

「えっと…由貴ちゃんと、七菜ちゃん。…あとは里山くんとかと。」

「慎也?」

わたしはうなづく。
…一瞬だけど、顔色が変わったような…

「ふーん。……慎也と……いい感じ?」

「…いい感じ?なんですかそれ?」

「いや…慎也のこと好きなんかなぁ~と思って。」

「好き!?そんなとんでもない!!ただのお友達です。」

何を聞いてるの?この人は…

「…あそ。」

安心した顔。


わたしは、鈍感じゃない方だから…


何か…わかった気がする。
小和田くんの気持ち…