しかし今日の朝は、緊張したな。

あのドキドキ感。


授業中、ふと戸野さんを見る。

よく食べるし、よく寝るし、よくコケる。それに、いつ見てもボサボサの髪…

暗いわけじゃない。むしろ、話かければたくさん喋ってくれる。

…恋愛対象にはなりそうもないけど…

同じクラスになって、よく見るようになった。


…戸野さんがこっちを向いた。
目が合う。

「わっ!」

オレはビックリして、大声を出してしまった。

みんなはオレの方を見て、数学顧問の渡辺は冗談混じりに言った。

「なんだ~里山。質問か?」

「いえ…違います…すいません。」

荒谷を見ると、口を開いて、『バーカ』と言っていた。

「ちゃんと聞いとけよ。」

「はい…。」


でもなんで驚いたんだよ!


朝の波の言葉がよぎる。

『彼女?』


戸野さんが、彼女…


ありえない…