この顔を見ると、帰りたくないこの家に、帰って来なきゃと思ってしまう。

「ここ片付けなくちゃならないから。皿とかの破片が散らばってて危ないし、このソファから動いちゃダメだよ!」

「うん!」

千陽くんを抱きあげ、ソファに座らせた。

散らかった部屋を片付けるのは、わたしの役目。

散らばったガラスの破片を拾って片付ける。


こんなことが1年も続いている。



翌朝、いつも起きる時間より2時間も遅く起きた。

「…うそっ!?……あ、大丈夫か。」

尚美さんがいることに気付いて安心した。
尚美さんが朝帰りしてくる日は、わたしが起きてみんなのご飯を作る。

まだ使いなれしていない携帯が鳴る。

「もしもし…由貴ちゃん?」

『沙知美ぃ~昨日はごめんね!』

「ううん。わたしこそ、帰ってごめんなさい。」

『全然だよ。…それでさ、明後日の花火大会来れそう?』

「うん。それは大丈夫!絶対行くから。」

『ホント!?よかったぁ~…昨日のことで行けなくなったかと思った。』

「そんな、大袈裟だよ。…大丈夫。」

『わかった。じゃぁ、また連絡するね!』

「うん。バイバイ。」

電話を切る。