皿を差し出す。

「はぁ!?…自分でやれや!」

「兄ちゃんの友達いて入れないんだよ。お願い、波ぃ。」

「やだよ、俺だって。」

康太は切ない目で見てくる。弟がいない俺は、これには勝てない。

「……わーかったよ。」

「さっすが波!」

「呼び捨て止めろ!…おばさんは!?せっかくだし食べれば?持ってくるよ、俺。」

「そうね~。お願いしようかしら。」


二人分の皿のトレーを持って庭に出る。

輪の中から外れた戸野をみつける。手には携帯。鳴っているのに出ようとしない。

「戸野?」

驚いたのか携帯を隠した。


「見えてたし…出なくていいの?」

「あ~大丈夫です。」

「…あそ。…ねぇ、肉とか食べた?」

戸野の皿が綺麗なことに気付いた俺は、そう言った。
少し黙って首を横に振った。

確かにあの中に入って行くのは、けっこーしんどいものがあるな。

「俺、取って来てやるよ。皿かしてみ?」

「いいです!」

「いいから!ついでだし!!」

「いいです、いいです!」

強引に戸野から皿を奪う。

「あ……すいません。」