「男の子の部屋のわりに、キレイだね。」

「って、長谷部、何探してんの!?」

「え~…男の子の部屋っつったら、探すもんは一つでしょ。」

長谷部は、タンスの中を開けたりしている。

「やめろや!ねーよ、お前が探してるもんなんか。つーか、探すなよ。」

「そうなの~?」

「…あるよ。俺見たことあるし。来る前、掃除してたからもうないとは思うけど。」

「ちょっと、波!?…何言ってんの!!」

「本当のことだも~ん。」

「波!!」

大きい声で慎也が言った。
戸野に知られたくないのか、その顔は必至だった。

「嘘…ごめん。」

微妙な空気が流れる。

「…あの~…お手洗いは…どこですか?」

戸野が、慎也に聞いた。

「…あ、」

「…俺が連れてく。」

「…うん。」

慎也は、あまり浮かない表情で返事をした。
俺と戸野は、部屋を出る。