雨の音だけが響く。

こんなシチュエーションになんてなったことないから…
戸野さんでも、


…緊張する。



戸野さんをみると、左肩が濡れていた。

「戸野さん、オレが持つよ。」

「いいですいいです!アタシが持ちます!」

「いいのいいの。貸して。」

オレは傘をとる。

さりげなーく、戸野さんの左肩まで傘がかぶるようにした。
今度はオレの右肩が濡れていく。

濡れないように中に入ろうとすると、お互いの腕があたる。

「うあぁ…ご、ごめん。」

「いえいえ。」

傘は、密室だ。
壁はないのに息苦しい。


なんか…

かなり…



ドキドキしてる自分がいる。