「どーぞ。上がって!」

「あ、はい。お邪魔しまーす。あの、これ。」

女の声だ。

「…やだ。そんなことしなくてもいいのに~。」


「え!?…長谷部だ!来るの、はやっ!」

慎也は声だけ聞いて誰が来たのか気付き、慌てて玄関に行く。


「準備できてねーよ。」

慎也と女の声が聞こえる。

「ごめんごめん。男子は、6時に来るんでしょ!?」

「うん。…まぁ、いいや。上がって!」

そんな話を俺は、ソファに座って康太と聞いていた。


「戸野さん。」

…戸野?

戸野沙知美?


「今日来てくれて、ありがとう。」

慎也の声が近くなる。
部屋に入ってきた。


「あれ!?…小和田くんじゃない?」

背中越しに聞こえる女の声。

「あ!紹介するね、幼馴染みの小和田波。…波!」

嫌々、立って振り返る。
戸野は、驚いている。

「嘘!慎也くんの幼馴染みだったの!?」

「あれ、長谷部に言ってなかったっけ?」