動物園から帰る途中、撮った写真を楽しそうに見る戸野に言った。

「写真なんてただの紙切れなのに、どこが楽しいんだよ。」

「紙切れなんかじゃないです。写真には、たくさんの思い出が詰まってるんです。これを見れば、今日動物園に行ったことがわかる。あと、これ…」

象が写ってる写真を見せる。

「これは、小和田くんと象を見た写真だし…写真は、何年経っても誰とどこに行ったか思い出させてくれるんです。忘れないんですよ、写真を見れば。一瞬一瞬が大切なんです!」

一瞬一瞬が大切か…


小さいころに撮ったアルバムの中に、慎也と撮った写真がたくさんある。

今見ても、どんな風に撮ったのか思い出せる。
自分が忘れていても写真が覚えている。

だから、忘れない。

忘れちゃいけない。


「おーい、二人とも置いてくよぉ!!」

みんなから少し離れていた俺と戸野。

戸野は走って、部長のとこへ行く。



写真が記憶。

今日も戸野にとっては、思い出なんだ。


コイツに悪いことしたって意味がない。自分が惨めに思える。


伝えればいいんだ。

俺が慎也に…


…伝えなきゃいけないんだ。

好きだって。