「だから、好きなヤツがいるって、クラスのみんなに言えばいいんだよ!」

「好きな人なんていないですよ?」

「嘘つけばいいの!!」

「いやです!そんなこと言えません!」

「じゃぁ、返さねーぞ!」

「カメラとそれは別です!そのカメラはわたしのです!」

「黙れ!従え!」

従うはずもないか…

今までとは違う。優しくしてれば、女なんてすぐに俺を好きになった。

けど、戸野はそうじゃない。どうしたら、慎也から遠ざけたらいいかわからない。


そんな言い合いが、何分も続いた。

止めたのは部長だった。


「あんたたち、仲良いよねぇ。」

そう言って、俺たちの目の前に現われた。

「そんなんじゃないっすよ!…なんなんすか?」

「…時間…」

すでに集合の2時になっていた。
結局、ご飯は食べられず、カメラも戸野に返してしまった。