「じゃぁ、…電車の時間もあるし…行くわ。」


「…そう。たまに帰ってくるのよ!」

「…うん、わかった。でも…俺がいても邪魔でしょ?」

「何言ってんの!」


荷物を持って玄関のドアを開けた。



「じゃぁね!頑張んなさいよ!」


母親にうなづいて、ドアを閉めた。



目の前には、連絡していなかった慎也がいる。



「…なんで知らせてくれなかったんだよ!」


今日、俺が行くことをわざと言わなかった。


「…あれ?言ってなかったっけ。」

「言ってないし、聞いてない!…避けてんじゃん!」

「避けてねーよ。…別に言うことじゃないし。」

「なんで!?…オレらずっと二人一緒だったじゃん。普通伝えるだろ!…そんな、冷たいこと言うな。」



そうじゃないんだ。


会いたくなかったんだ。