『なんかさ、今思えばひとめぼれだったのかなぁ~なんて。』

少し、頬を赤く染めた慎也が言った。

『…いっつもじゃん。』

『そうだけど!今までとは…違うんだよ。…ほら、タイプがね、タイプが違う。なんか、何年か前の子って感じ?』

『ふ~ん…名前は?』

『…戸野 沙知美!波も一度会ったことあるよ。…』

笑顔で答えた好きなやつの名前。


忘れない。


…今、俺の横を通り過ぎた、こいつだ。


「小和田…くん?」

「ごめん!だから無理!」

走ってあの女を追いかけた。