胸は張り裂けそうなぐらい痛み、頭は何も浮かばない。体育館から見える裏庭に出る。



「波ぃ?」

慎也の声が、言葉を塞ぐ。

「…ごめんな!呼び出して…」

やっと出た最初の言葉。


「うん。…こんなん初めて。」

話すことが見つからず、ただ頭に浮かんでくるのは『好き』の2文字だけ。


「波?どうしたんだよ。」

「……あのさ、俺らもう長い付き合いだよな。…18年になるよ。」

「そうだね。ずっと幼馴染みだし、年数にするとすごいかも。」

「…ずっと一緒にいたよな。」

「てか、波がついてくるんじゃん!」

「うん、そう。それには、理由があって…」

「…理由?」





ずっと思ってきた思いを伝える日が来るとは思わなかった。



今ならちゃんと言える…